不倫・浮気による慰謝料を請求された場合の反論として、以下のような主張をすることが考えられます。
不倫・浮気の事実はない
不倫・浮気の事実がないのであれば、慰謝料を支払う義務はありません。
そして、不倫・浮気の証拠は、慰謝料を請求する側が出す必要があります。
不倫・浮気の事実がない場合には、毅然とした態度で反論するべきです。
既婚者であることを知らなかった
不倫・浮気による慰謝料請求が認められるためには、肉体関係を持った相手に配偶者がいることを知っていたか、あるいは容易に知ることができる状況にあったことが要件となります。
そのため、不倫・浮気相手の側からのみの反論となりますが、肉体関係を持った相手が既婚者であることを知らず、かつ容易に知ることができない状況であったという場合には、慰謝料を支払う義務を負いません。
具体的には、肉体関係を持った相手が独身であるような振る舞いをしていたことや、ネットで知り合ったためによく知らない間柄であったというような事情を主張することが考えられます。
不倫・浮気をしていたときには夫婦関係は破綻していた
不倫・浮気による慰謝料請求の根拠は、不倫・浮気によって夫婦関係を破綻させたか、あるいは悪化させたこととなります。
そのため、すでに長期間にわたって夫婦別居状態となっていた場合や、夫婦間で離婚の話が何度も出るほどに夫婦関係が悪化していたなどの事情を主張し、慰謝料の請求自体を争うことや、慰謝料の減額を求めることなどが考えられます。
慰謝料の請求が時効にかかっている
慰謝料を請求する権利は、請求する者が、不倫・浮気の事実と不倫・浮気相手を知ってから3年で消滅時効にかかります。
そのため、請求者がいつの時点で知ったのかにもよりますが、不倫・浮気をしてから長期間経過している場合には、慰謝料の支払を免れられる可能性があります。
ただし、途中で不倫・浮気の事実を認めた場合や、慰謝料の一部を支払った場合には、時効が更新し、時効にかかっていることを主張することができなくなるため、注意が必要です。
既に配偶者あるいは不倫・浮気相手が慰謝料を支払い済みである
不倫・浮気による慰謝料は、配偶者および不倫・浮気相手のいずれに対しても請求することができます。
もっとも、一方がすでに十分な金額の慰謝料を支払った場合、もう一方は慰謝料を支払う義務を負いません。
また、一方が少しでも慰謝料を支払った場合には、もう一方はその分だけ慰謝料の支払額を減額することができます。
例えば、慰謝料の適正額を200万円とした場合に、配偶者がすでに200万円の慰謝料を支払った場合には、不倫・浮気相手は慰謝料を支払う義務を負いません。
また、不倫・浮気相手がすでに100万円の慰謝料を支払った場合には、配偶者は残り100万円の慰謝料を支払うことで足ります。
別居・離婚には至っていない
不倫・浮気の事実があった場合でも、別居や離婚に至っていない場合には、一般的には、夫婦関係の破綻の程度が比較的軽微であると判断されます。
そのため、不倫・浮気相手としては、夫婦が別居・離婚には至っていないと反論することで慰謝料の金額を減額することができます。