ダブル不倫(W不倫)とは、既婚者同士の不倫・浮気のことを言います。
どちらも家庭を持っているということがポイントです。

一般的な不倫・浮気では、男女のどちらかが既婚者でもう一方が独身ですから、この点が一般的な不倫・浮気との違いです。

夫・妻が不倫・浮気をしていたら、夫・妻とその不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求できます。
そして、もちろん、ダブル不倫の場合でも慰謝料を請求できますが、通常の慰謝料請求とは異なる点もあります。
ここでは、ダブル不倫の場合の慰謝料請求における注意点について詳しく説明していきます。

1 不倫・浮気相手に慰謝料を請求する場合の注意点

ダブル不倫では、不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求した場合、不倫・浮気相手の配偶者も、自分の配偶者に対して、慰謝料を請求してくる可能性があります。

ここで、もし自分が離婚を考えていない場合には、一般的には夫婦の家計は同一(財布は一緒)なので、自分の家計から不倫・浮気相手の配偶者に対して慰謝料を支払わなければならなくなります。
仮に、自分が受け取る慰謝料と自分の配偶者が支払う慰謝料が同額だったときは、結局は、差し引きゼロということになります。

さらに、自分は離婚しなくて、不倫・浮気相手の夫婦がダブル不倫を理由に離婚した場合には、自分が受け取る慰謝料よりも、自分の配偶者が支払う慰謝料の方が多くなる可能性があります。
この場合には、差し引きで、自分の家計が損をするという結果となってしまいます。

もちろん、不倫・浮気相手が自身の配偶者には黙ったまま慰謝料の支払に応じるということはあります。

とはいえ、離婚を選択せずに不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求する場合には、自分の家計が損をする可能性もありますので、ダブル不倫の場合に慰謝料を請求するかどうかについては、慎重な判断が必要とされます。

2 不倫・浮気相手の配偶者から慰謝料を請求された場合

ダブル不倫では、不倫・浮気相手の配偶者から慰謝料を請求された場合、自分の配偶者も、不倫・浮気相手に対して、慰謝料を請求することが考えられます。

ここで、もし自分が離婚をせず、不倫・浮気相手の夫婦も離婚しない場合には、夫婦の家計が同一(財布は一緒)であることを前提とすると、自分が不倫・浮気相手の配偶者に支払う慰謝料と自分の配偶者が受け取る慰謝料が同額だったときは、差し引きゼロということになります。
この点で、不倫・浮気相手の配偶者には慰謝料を請求するメリットがなくなります。
そこで、お互いに慰謝料を請求しないという形で和解(ゼロ和解)できる可能性があります。

もっとも、このゼロ和解は、自分の配偶者が不倫・浮気相手に慰謝料を請求することが必要となりますので、自分の配偶者に不倫・浮気の事実を隠したままにゼロ和解を目指すことは困難です。
自分の配偶者には分からないようにして対応したいという場合には、一定の金額の慰謝料を支払う必要が出てくるわけです。

このように、ダブル不倫の場合の慰謝料請求では、通常の慰謝料請求とは異なる点、注意しなければならない点があります。
請求するかどうかについては慎重な判断が必要とされますし、請求された場合にはW不倫特有の対応方法がありますので、慰謝料請求に強い弁護士に相談することをお勧めします。