不倫・浮気の事実が発覚したときに、すぐには慰謝料請求をしなかったものの、後々やはり慰謝料を請求しよう、と判断されるケースもあります。
このとき、慰謝料請求の相手方からは、「慰謝料を請求しないことで話が収まっていたはずだ」などと反論されることがあります。
これを慰謝料請求の宥恕(免除)の問題と言います。
このページでは、慰謝料請求の宥恕(免除)について、解説させていただきます。
慰謝料請求の宥恕(免除)とは
不倫・浮気の事実を知りながら、慰謝料を請求しないものとして許すことを、慰謝料請求の宥恕(免除)と言います。
「宥恕」というのは、許すという意味です。
慰謝料請求の宥恕(免除)の事実があったのであれば、その後に改めて慰謝料を請求することはできません。
一旦許した慰謝料問題について、蒸し返すことは認められないのが原則であるからです。
どのような場合に慰謝料請求の宥恕(免除)が認められるのか、という点については、以下でご説明させていただきます。
配偶者に対する慰謝料請求
不倫・浮気をした配偶者に対する慰謝料請求における宥恕(免除)について、ご説明いたします。
不倫・浮気の事実を知ったものの、慰謝料の請求をせずに夫婦関係を維持することを選択し、その後に結局離婚に至った際に慰謝料を請求する、というケースが考えられます。
このような場合、まずは、明確に「不倫・浮気相手との関係を切ることを前提に、今回だけは許す」という意思表示・合意をしていたのであれば、慰謝料請求の宥恕(免除)が認められるでしょう。
また、このような明確な意思表示・合意がなくても、不倫・浮気の事実を知りながら、夫婦関係を継続する合意をし、離婚することなく夫婦生活を一定期間維持したという事実関係があるのであれば、慰謝料請求の宥恕(免除)が肯定される可能性が高くなるでしょう。
これには、不倫・浮気の事実を知ったものの、子どものことなど様々な事情を考慮し、配偶者が不倫・浮気相手と別れることを前提に、離婚をせずに夫婦関係を維持する選択をする例があります。
また、不倫・浮気の事実を認める謝罪文や、不倫・浮気相手と別れることを約束する誓約書を配偶者に書かせるという例も数多く存在します。
このように、謝罪文・誓約書を受け取ったうえで離婚を回避し、夫婦関係を維持する選択をして一定期間経過したのであれば、一旦許したものと評価され、慰謝料請求の宥恕(免除)が認められる可能性が高いと思われます。
なお、当然ながら、配偶者が謝罪文・誓約書に違反して不倫・浮気を繰り返した場合は話が別です。
このような場合には、配偶者に対する慰謝料請求が可能です。
以上のように、慰謝料請求の宥恕(免除)が認められるのであれば、慰謝料を請求することはできなくなります。
なお、不倫・浮気の事実を知らないままに時間が経過したというだけであれば、慰謝料請求の宥恕(免除)があったものとは認められません。
不倫・浮気を許す・宥恕することは、不倫・浮気の事実を知っていることが当然の前提であるからです。
不倫・浮気相手に対する慰謝料請求
配偶者と身体の関係を持った不倫・浮気相手に対する慰謝料請求における宥恕(免除)について、ご説明いたします。
この点、単に慰謝料請求をせずに時間が経過したというだけでは、慰謝料請求の宥恕(免除)が成立することはありません。
不倫・浮気の事実を知ったうえで、「慰謝料の請求をしない」という明確な意思表示・合意があった場合でなければ、通常は慰謝料請求の宥恕(免除)は認められません。
なお、配偶者に対して慰謝料請求の宥恕(免除)をしたとしても、そのことにより、不倫・浮気相手に対しても慰謝料請求の宥恕(免除)をしたものと認定される、ということにはなりません。
配偶者を許しても、不倫・浮気相手は許さない、という取り扱いは認められています。
ですので、配偶者に対して慰謝料請求の宥恕(免除)をする一方で、不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求する、ということには問題がありません。
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