不倫・浮気による慰謝料請求をされた場合に、請求されたとおりの金額を支払わなければならないのか、過大な請求を受けているのではないか、慰謝料の額はいくらくらいが相場なのかといった疑問を持たれる方も少なくないと思います。
このページでは、慰謝料はいくらくらい支払わなければならないのかという点について、解説させていただきます。

慰謝料を支払わなくてもよいケース

そもそも、①不倫・浮気の事実が存在しない場合には、慰謝料を支払う必要はありません。
また、②肉体関係を持った相手が既婚者であることを知らず、かつ知らなかったことについて落ち度がない場合、③肉体関係を持った時点で既に夫婦関係が破綻していた場合、④慰謝料請求権が3年の時効にかかっている場合にも、慰謝料を支払う必要はありません。

慰謝料の金額の算定に当たって考慮される要素

既婚者と肉体関係を持った場合で、上記の①~④のケースに該当しないときは、慰謝料請求に対して全く支払いに応じないというわけにはいかないのが原則です。
このとき、慰謝料として一体いくらくらいを支払えばよいのかという問題が出てきます。
慰謝料を請求してくる側は、例えば300万円や500万円などの金額を明示してくることが多いのですが、こうした金額は、あくまで請求側の言い値に過ぎません。
また、慰謝料を請求してくる側において、明確な金額を提示しないまま「慰謝料をいくら支払ってくれるのか?」、「あなたの誠意としていくらの支払を考えているのか?」などと迫られることもあります。

そもそも、慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われるお金(損害賠償金)のことを意味します。
慰謝料の金額は、物を壊された場合の修理費や、怪我をさせられた場合の治療費などのように、客観的に明確な基準があるわけではありません。
そのため、「不倫・浮気による慰謝料の金額の相場は、〇〇〇万円である」と一概に言えるものではなく、個々のケースにおける具体的な事情に基づいて算定されます。
慰謝料の金額の算定に当たって考慮される要素としては、次のようなものがあります。

●不倫・浮気に至る経緯
●肉体関係の回数および期間
●結婚期間の長さ
●不倫・浮気当時の夫婦関係の親密さ
●被害者側の落ち度
●精神的苦痛の程度に関する具体的事情
●不倫・浮気を原因とする離婚や別居の有無 など

慰謝料の金額の相場

慰謝料の金額は、上記のとおり、個々のケースにおける様々な具体的事情に基づいて算定されるのであり、客観的に明確な基準が存在するわけではありません。
しかし、慰謝料の金額について全く見通しが立てられないわけではなく、過去の裁判例や実務上の運用で一定の相場が形成されています。
基本的には、こうした慰謝料の金額の相場を踏まえて、示談交渉や訴訟による解決が図られることが多いです。

過去の裁判例や当事務所の弁護士が過去に取り扱った事案を踏まえますと、不倫・浮気による慰謝料の金額の相場は、おおむね次のとおりとなります。
●不倫・浮気の事実はあったが、離婚も別居もしていない場合
50万円~100万円
●不倫・浮気が原因で別居状態となった場合
100万円~150万円
●不倫・浮気が原因で離婚に至った場合
150万円~200万円

ただし、上記の金額はあくまで相場的な数字であり、個々の事案の内容によっては金額が大きく左右されることもあります。
例えば、不倫・浮気の当時に夫婦関係が相当悪化していた場合には、慰謝料が相当低額になることもあり得ます(ただし、夫婦関係の悪化を立証するのは、困難なケースも多いです)。
また、不倫・浮気の期間が数年以上の長期にわたる場合や、不倫・浮気相手との間に子どもができた場合などには、慰謝料が増額される要素となります。

このように、慰謝料の金額の算定に当たっては、様々な要素が考慮されるのであり、慰謝料はいくらくらい支払わなければならないのかという点について、弁護士ではない方がご自身で判断することは容易ではないのが通常です。
不倫・浮気による慰謝料請求を受けてお困りの方がいらっしゃいましたら、まずは法律のプロである弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
当事務所の弁護士は、これまで、不倫・浮気の慰謝料問題を多数取り扱って参りました。
お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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