不倫・浮気とは、通常、夫もしくは妻以外の人と交際することを指す言葉です。
不倫・浮気は社会的に許されない、というのが世間一般の認識でしょう。
では、不倫・浮気があったときは、全て、慰謝料を請求することができるのでしょうか。
法律上、「不貞行為」があったときは、これを根拠として、不貞行為をした夫・妻と、その相手方に対して、慰謝料を請求することができます。
そして、実務においては、この慰謝料請求の対象となる「不貞行為」とは、「結婚している人が、夫婦以外の他人と、自分の自由な意思で性的関係(肉体関係)を結ぶこと」とする考え方が有力とされてきました。
これは、「不貞行為」を、貞操義務(夫・妻以外の他人と、肉体関係をもたないという義務)に違反する行為とする考え方によるものです。
この考え方によれば、恋愛感情があっても性的関係(肉体関係)のない不倫・浮気の場合もありますから、必ずしも、不倫・浮気=慰謝料請求の対象となる「不貞行為」とはならないことになります。
では、恋愛感情があっても、単にデートをしたり、キスをしただけでは、法律上、慰謝料請求が認められる「不貞行為」にはならないのでしょうか。
裁判実務では、これまで、肉体関係があったと認められる場合について、慰謝料請求が認められるという判決が出されることがほとんどでした。
しかし、平成26年に、大阪地方裁判所で、交際相手との間に肉体関係があったとまでは認められないとしつつも、慰謝料44万円の支払を命じる判決が出されました。
この判決からすると、これまで有力であった考え方からさらに進んで、広く不倫・浮気関係にある者は、相手方との肉体関係がなくても慰謝料請求の対象となるおそれがあることになります。
また、夫・妻が他人とデート・キスなどを繰り返していたことが原因で結婚生活が崩壊し、別居・離婚に至った場合には、その精神的苦痛について、慰謝料請求できる(される)場合もあるでしょう。
不倫・浮気が慰謝料の対象となるかは、その不倫・浮気の内容や個々人の状況によって判断が異なります。
したがって、慰謝料を請求できるかどうか分からない方、慰謝料を請求されているが支払う必要があるのかどうか分からない方は、まずは専門家である弁護士に相談することをお勧めします。